駒場一丁目28番に浦和ルーテル教会があります。今回は、意外と歴史の深いルーテル教会について報告してみたいと思います。
お話にあたり、当教会の牧師をしていらしゃる笠原光見(カサハラコウケン)師に、いろいろとお話をうかがいました。笠原師は、闊達な方で多くのことを率直にお話いただきました。あつくお礼をもうしあげます。
その前に、「ルーテル」という名前について解説いたします。
キリスト教には、大きく分けますと、ローマ・カトリックとプロテスタントがあります。また、それぞれの中にも、会があり、その数がいくつになるかはわかりません。ただ、大学だけで見たミッションスクールの中でもカトリック系の上智大学から、プロテスタント系の国際キリスト教大学(ICU)、中間的(失礼な言い方ですが)な立教大学など50校近くがあり、それぞれ創立の会に支えられていますので、それだけ会が多いということです。ちなみに、比較的宗教色を表出していない津田塾大学も、ミッションスクールを名乗っており、学内には聖堂を持っています。しかし、大学を持っている教会は少数派で、函館の修道院のように、独立して、自給自足に近い厳しい生活をしている教会も数多くあります。ただ、会が多いからといって会どうしが争うようなことは全く無く、それぞれの考えで、神やキリスト、聖母マリアを慕っております。
カトリックとプロテスタントと独立するきっかけとなったのが、16世紀にドイツを中心として起こった宗教改革です。その中心で活躍したのがマルチン・ルターです。そのルターの名前をいただき”lutheran(ルーサラン)”つまり「ルターの仲間」という意味にあたります。それを日本語読みすると「ルーテル」になります。この会派の教会は全国に34施設ほどあるということです。
浦和ルーテル教会が、今の地に建てられたのは1965年(昭和40年)ですが、その前から浦和ルーテル教会は存在しています。当然、今のブランシェラにあった浦和ルーテル学院とは深い関係を持っていましたし、学院が美園に引っ越した今でも行事の時には笠原牧師の執式でなさっているそうです。
教会の創立は、1945年に始まります。今の「認定こども園母の会幼稚園」のある本太1-24-16から始まります。当地のお母さん方が、質の良い児童施設を作ろうという動機から集まり、アメリカのルーテル教会ミズーリシノッド(教区名か?)のシュミット博士を訪ねます。その指導を受け本太の地に1950年に「ルーテル教会浦和講義所」が開設されるのが教会の第一歩になります。この時、アメリカから3人の宣教師が派遣され、数名の日本人の識者とキリスト教伝道の仕事を始めます。
1953年聖望学園(今のルーテル学院)が開校すると、教会を学校内に移します。当時、私は教会の日曜学校に通っていたので、二棟の木造校舎の東側の校舎に教会堂が設置されていたのを覚えています。ですから、私たちはあの地を「聖望学園」とは呼ばずに「教会」と呼んでいました。
このころ伝導を積極的に行ったことの表れとして「ルーテルアワー」というラジオ番組があったことをご記憶の方もいるのではないかと思います。一時はテレビでも行っていましたが、1989年で、マスコミを使った伝導は関東地方から無くなっております。地方の放送局には今でも行っている所があるようです、
1965年地域の活動を重視したのでしょうか、ルーテル学院の中にあった教会を外に出し、今の所に建設します。献堂式は10月31日の「宗教改革記念日」に行われました。そのときの教会の写真が①②です。①の玄関の写真では、ゴチック風の大胆なデザインが感じられます。②の方は礼拝堂の窓側ですが、明るく光を取り入れようという主旨がよく表れています。ふたつの写真に見覚えのある風景とおもわれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
地域活動としては、障害児施設「さくら草学園」の支援、ハンセン氏病施設「国立療養所多摩全生園」のお手伝いなどを積極的に行っております。
2001年教会創立50周年を迎えます。11月3日に記念行事が行われ、記念誌が発行され、祭壇の飾り布が新しくなりました。
2014年には、約50年使われた教会全体の立て直しが検討されます。4月19日に起工式がおこなわれ、同年の11月29日に完成し、献堂式がおこなわれ、皆の祝福を受けます。駒場自治会の当時の会長だった高橋重之氏も祝辞を述べています。 現在の教会堂は2014年完成のものです。まず私たちを迎えてくれるのは、モザイクガラスで彩った玄関ドアを持った玄関です。屋根部分は茶色の金属製(アルミ?)で、壁部分は、漆喰に近い塗り物風の外壁材で凹凸を持たせたシックな作りになっています。屋根材と壁材のコントラストが考えられています。
写真③にあるように高い建物で、二階建てに見えますが、一階建てで礼拝堂が中心の建物です。外観的に特徴があるのは、南側にある尖塔のような高い屋根で、礼拝堂の十字架を照らすための明かりとりの窓になっています。
もうひとつの外観的な特徴は、玄関にありあます。写真④のように、緑色の中にステンドグラスで彩られた十字架があしらわれています。
内部は、驚くほど斬新な作りになっています。内部の作りから、教会の活動内容につきましては、来月にまわしたいと思います。
したがって、来月は、「浦和ルーテル教会 その2」となります。